やる気よ、去れ!

単なる日々の言葉

デッドヒート(ショートショート)

「ダメだ。このままじゃエンジンがいかれる。」

 

その豚に似たパイロットは眉間にしわを寄せ、

 

額に汗を垂らして言う。

 

助手席の女の子のフィオも慌てた様子だ。

 

「このエンジンはポンコツでオンボロなのよ。

 

過去に何遍もやらかしてる問題児よ。

 

もっと、ゆっくり進んでちょうだい。」

 

「わー、もう働くのはこりごりだよー!!」

 

とエンジンが悲鳴を上げる。

 

「わかったよ、お嬢ちゃん。エンジン低下!脱力モード、オン!!

 

全力で休憩だ!!振り落とされるんじゃねーぞ!!!」

 

ぷすん、ぷすん。

 

その飛行機は急速にスピードダウンし、

 

飛んでいるのが不思議なくらいに

 

低速で飛んでいる。

 

飛行機に蝶がとまる。

 

鳥たちもとまる。

 

バス停で待ってるおばあさんも載せてあげる。

 

「このあと、どうする?」

 

「そうね。待って、今、コーヒー淹れるから。

 

昼寝でもして考えましょう。」

 

空は洗濯物を干したくなるようないい天気だった。